あれ?建設業界ってなんかおかしくないか?
施工管理を10年経験した中で結論をいうと「建設業界はかなりおかしい」。でも、メリットもあるんですよ。
今回は建設業界のおかしな実態をテーマに建設業の未来についてまとめてみました。
おかしな建設業界で働くメリットも解説していますので、ぜひ本記事をご覧ください!
建設業界に入社したものの
あれ?なんかこの業界おかしくね?普通じゃない気がする…
と気づいてしまった若手の皆さん。
その感覚、何も間違っておりません。
建設業界に10年間、身をおいている僕も思います。
狂ったようにおかしい業界だと…。
本記事ではまだ建設業界に入って日が浅いあなたに向けて建設業界がおかしい理由について解説していきます。
建設業界で働くことに疑問を感じているあなたにぜひ読んで欲しい内容になってます。
重要なお知らせ!
建設業界がやばくておかしいのは事実です。
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やっぱり建設業界はやばい!おかしい!5つの理由
建設業界はやばい!おかしい!
何も大袈裟に言っているわけではなく、建設業界を10年経験した僕の結論です。
まずは建設業界がやばくておかしい理由を5つ紹介します。
詳しく解説してきます。
労働環境が地獄すぎる
建設業界がおかしい実態の1つ目が「労働環境が地獄すぎる」こと。
建設業の労働環境はガチで最悪です。
- ゼネコン担当者は朝7時前から働くのが当たり前
- 夏は暑いし冬は寒い。ヘルメットは蒸れて汗臭さMAX
- 夜間工事の現場に数年配属されることもあったり
- トンネルや橋など土木工事は山奥で通勤時間がめっちゃかかる
転勤や出張は当たり前で、県外の現場に配属されると2年以上帰ってこれなかったりも。
現場によったら転勤先からまた違う転勤先に行ったりと地方を転々とする人もいます。
極め付けは、仕事中に命を落とす危険性がある点です。
下記のグラフは令和元年の業種別死亡災害発生状況をまとめたものです。
見ての通り建設業がダントツ1位なんですよね…。
業界全体の努力で建設業の危険で過酷な労働環境は改善傾向になっているとは感じますが、完全に無くなることはないでしょう。
施工管理の激務度がレベチ
建設業界がおかしい実態の2つ目が「施工管理の激務度がレベチ」なこと。
建設業界の中でも施工管理の激務度は明らかにレベルが違います。
- 業務量が多すぎる・・工程管理、安全管理、施工図、発注業務、etc・・
- 超長時間労働・・朝7時に出勤、就業して家路に着く頃には日付が変わる
- 休みが極端に少ない・・土曜、祝日は仕事。年間休日80日以下はデフォルト
などなど…。
施工管理職は、他業界だと考えられないような激務が待ち受けています。
でも、働き方改革で改善されているんじゃない?
2024年問題で残業時間が大幅に減るだろうし…!
と思っているかもしれませんが、
建設業の働き方改革は絶対に不可能だと思います。
そもそもの根本的な問題を解決しないといけないからです。
- 例えば2年かかる工期を3年にする
- 日当制の職人の賃金を上げる
これらを実現するために政府の公共投資予算を増やす必要があります。
(令和3年度は約7兆円|引用:令和3年度予算概要)
消費増税するぞ!って言ってる政府が公共投資の予算を増やすなんて、考えるだけでも実現するわけないって思いませんか?
建設業の働き方が本当の意味で改善される日はなかなか来ないでしょうね。
恫喝されるのはガチ
建設業界がおかしい実態の3つ目が「恫喝されるのはガチ」な話です。
嘘みたいな話ですが、マジです。
- サブコンの設備担当者が元請けの建築担当者に恫喝される
- ゼネコンの社員が所長に恫喝される
なんてことは、特に工事の終盤のピリついたときによくある光景です。
胸倉をつかまれて恫喝されている若手サブコン担当者を目撃したこともあります。
どう考えても「アウト」じゃないですか…。
建設業あるあるで特にゼネコン担当者に見られる傾向として
コミュニケーションはとりあえず高圧的に一発かましてから
って人がたまに居ます。
普通にしゃべってるだけなのに「あれ…なんで怒ってるの?」ってなるんですよね。
理不尽に恫喝されている現場を見るとこの業界はおかしいなってつくづく実感します。
職種で謎の上下関係がある
建設業界がおかしい実態の4つ目が「職種で謎の上下関係がある」ことです。
建設業界で1番偉いのは建築という謎の空気があります。
建築以外はすべて一列で、建築以外を下に見ている人が多いのが特徴です。
本当に謎の文化ですけど現場にいると感じるんですよね。
大手のゼネコンだと建築、設備と部署が分かれていますが、出世しやすいのは圧倒的に建築部なんです。
スーパーゼネコンの現場になると、トップの所長は建築畑、ナンバー2の副所長は設備畑で構成されていることが多い。
所長の権力は絶大で、
- 下請け会社の接待はすごいし
- 部下達からのヨイショはとてつもない
とにかく古い体質が消えないのが建設業界です。
大手の一人勝ちが理不尽
建設業界がおかしい実態の5つ目が「大手の一人勝ちが理不尽」なことです。
建設業界の貧富の差は凄まじく
- 大手ゼネコンは平均年収1000万円
- 中小ゼネコンは平均年収700万円
- 大手サブコンは平均年収700万円
- 下請けメーカーは平均年収400万円〜500万円
中小ゼネコン、大手サブコンの年収は、大手ゼネコンの7割程度で。
下請けメーカーになると大手ゼネコンの半分程度とかなり差が開きます。
ピラミッドの頂点である大手ゼネコンがすべてを持っていく構図ですね。
働いている時間、やってることはあんまり変わらないのに会社が違うだけで大幅に年収が変化するのはおかしいですよね。
建設業で若者離れが当たり前な理由
「おかしい」「やばい」と言われがちの建設業界ですが、若者離れが加速しているのが現状です。
国土交通省が発表した「最近の建設業を巡る状況について」によると、2021年(令和3年)の建設業就業者のうち、29歳以下は12.0%であるのに対し、55歳以上は35.5%という結果です。
ここでは建設業で若者離れが当たり前な理由について見ていきましょう。
給料が割に合わない
1つ目は「給料が割に合わない」ことです。
- 業務量が多すぎるし
- 超長時間労働で
- 休みが極端に少ない
建設業はこれだけ激務な仕事なのに給料が割に合いません。
国税庁がまとめた令和3年分民間給与実態統計調査では、建設業界の平均年収は510.8万円です。
全産業の平均年収443万円と比べると確かに高いですが、
- 休みは週1日
- 週6日間労働
- 毎月の残業時間は100時間超
といった努力と犠牲のたまものでしかありません。
正直、時給換算にすると全く割に合わないんですよ。
業界全体にブラックな慣習が浸透している
2つ目は「業界全体にブラックな慣習が浸透している」点です。
実は建設業界にも働き方改革の波が押し寄せており、2024年問題と呼ばれる国を挙げての働き方改革が迫っています。
2024年4月から建設業の残業時間を減らすために下記の規制が適用されます。
出典:国土交通省
- ■原則、月45時間かつ年360時間
- ■特別条項でも上回ることのできない上限
- 年720時間以内(休日労働を含まない)
- 時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
- 2カ月平均、3カ月平均、…6カ月平均が全て単1月当たり80時間以内(休日労働を含む)
- 時間外労働が月45時間を超過できる月は年6回まで
しかし、あまり大きな効果は期待できないでしょう。
残業時間が規制されても仕事量は変わらないわけですから。
逆に残業代がもらえないサービス残業が増えることは間違いないです。
つまり、よりブラックな業界になるわけですね。
建設業は「残業=頑張っている」という謎の常識がある世界。
業界全体にブラックな慣習が浸透していて腐敗しています。
人手不足が深刻
建設業界がここまでブラックな理由として深刻な人手不足に直面していることが挙げられます。
国土交通省のデータによれば、有効求人倍率が上昇し求人ニーズがあるものの、求職者は大幅に減少。
4倍を超える有効求人倍率がありながら、建設業界で求職する労働者の数は40万人にも満たないのです。
人気がないからなのか、求人需要がある一方で就業者数が減少していますね。
また、他産業よりも高い離職率も大きな問題です。
年々改善の兆しをみせるものの、特に就労1年目の離職者数が最も多い結果が出ています。
建設業界の就業者数は1997年のピーク時点で約685万人、
2017年では約498万人と年々減少傾向。
建設業では就業者数減少しているだけでなく、就業者の高齢化も深刻です。
下記データによると、全体の60%が60歳以上の技術者であり、約4分の1を占めていて、29歳以下の割合は約10%程度しかありません。
今から10年後には大半の就業者が引退することが見込まれるため、若年層の就業者を確保し技術を継承していくことが最重要課題。
建設業界の企業が人手不足倒産することもしばしば起こっています。
かなり深刻な問題で闇が深い問題ですよね。
建設業界で働くメリット3つ
ここまで建設業の良くない面について解説してきましたが、全くメリットがないわけではありません。
本章では建設業界で働くメリット3つを紹介します。
35歳までなら未経験でも採用されやすい
施工管理は35歳までなら職歴なし、未経験であっても就職可能な業界です。
なぜ未経験であっても若者であれば就職可能かといえば、業界全体で若手人材が足りていないという業界の構造上の問題があります。
例えば、国土交通省の資料に「建設業界における年齢別の技能労働者数」のデータが記載されているのですが、下記データをご覧いただければ若手人材が不足しているのが一目瞭然であることが分かります。
若手人材の確保と育成は業界全体の課題なのです。
そんなわけですから、無職ニートであろうと職歴がなかろうと、35歳以下の人材であれば未経験で就職が可能である業界と言えます。
給料はそこそこ高く安定している
国税庁がまとめた令和3年分民間給与実態統計調査によると、建設業界の「平均年収は510.8万円」
全職種の平均年収は443万円と比べて建設業界の年収は高いと言えます。
ちなみにスーパーゼネコンになると平均年収1000万円を超えてきます。
企業名 | 平均年収 |
---|---|
鹿島建設 | 1163万円 |
大林組 | 1032万円 |
竹中工務店 | 1009万円 |
大成建設 | 993万円 |
清水建設 | 971万円 |
未経験でも採用されやすい上に高年収が期待できるのが施工管理職の特徴です。
会社ごとの平均年収については、「【ゼネコンランキング】スーパー・準大手・中堅26社を一覧で徹底比較」の記事で詳しくまとめているので、ご覧ください!
また建築工事は公共事業で発注されているものが多いので翌年に利益が半減なんてこともほぼありません。
年収が高くて安定している業界ですね。
キャリアアップに最適な環境
実は、施工管理で経験するコスト管理や工程管理といった仕事内容は割と他の業種に進んでも重宝されます。
- デベロッパー
- 都市機構再生
などが代表的ですが、これらの選考基準に「1級建築士保有者は大歓迎」と記載されていることがよくあります。
それほど施工管理の仕事は難易度が高く、経験が評価されるのです。
- デベロッパー
- 都市機構再生
この3つの業種は、施工管理の半分以下の残業時間で施工管理以上の年収を得られる可能性もあります。
施工管理で得たスキルや経験を上手く活用してキャリアアップするのも一つの道です。
施工管理から異業種への転職を目指すなら「施工管理から転職したい!おすすめの転職先9選【経験を活かした転職のコツ】」をご覧ください。
建設業界に未来はない?
深刻な人手不足に悩まされている建設業、まだ若い人にとってどんな未来が待っているのか不安を感じることもあると思います。
結論、「まだ終わってはないけど今のままだと希望は持てない」です。
建設業の将来を考えたときに良い面と悪い面がありますが、主に以下の理由です。
建設業の未来(良い面) | 建設業の未来(悪い面) |
---|---|
残業時間の上限が設けられる 週休2日制に変わる 業界がなくなることはない | 公共事業予算が減少傾向 外国人労働者が増えると賃金が下がる 強引な働き方改革の副作用で失業者増加 |
2024年から適用される36協定によって残業時間の上限が設けられ、週休2日制になることで働き方は改善されるでしょう。
しかし、建設業にとって36協定は劇薬で結果的に
- サービス残業が増えブラック労働化が進む
- 日当制の職人の所得が減り人手不足が増す
などあまり効果は期待できない可能性があります。
また、公共事業予算は減少傾向なので成長産業と違って各企業は少ないパイの奪い合いをしている状態です。
構造的に元請である大手ゼネコンの方が取り分が多いわけです。
働き方改革によって働く時間が減った職人の所得を増やすことなんで無理ゲーなんですよね。
そこで外国人労働者を増やせばさらに賃金が下がっていきます。。
人手不足、教育実習の名の下に低賃金で雇える外国人労働者を増やせば会社は儲かります。
- 公共事業予算が年々減少傾向
- 低賃金の外国人労働者が増える
- 強引な働き方改革の副作用で失業者増加
上記の問題を政府や業界全体で解決していかないと建設業の未来に希望は持てませんね。
【建設業界の将来性】10年はどうなっているか?
- 建設業界は5年後、10年後どうなっているのだろうか…?
- この先も建設業に居続けても大丈夫なのか…。
自分のキャリアを真剣に考えている人ほど業界の将来性が気になるのではないでしょうか。
また、若いうちに転職した方がいいのじゃないかと迷っている人もいるかもしれません。
建設業界は10年後どうなっているか。日本建設業連合会が作成した「10年後を見据えた建設業のあり方について」を引用しながら考えていきたいと思います。
10年後の建設業はどうあるべきかという大きなテーマについて次の4つをあげています。
- ライフサイクルの多様化を踏まえた生産体制のあり方
- 適正工期の確保と週休二日体制の実現
- 加速度的な AI・IoT を含む ICT 活用範囲の拡大
- 「将来の担い手の確保・育成」に向けた労働環境の改善
10年後に建設業がどうなっているのかは、正直誰にもわからないし結論の出しようがありません。
しかし、10年後に今よりも業界全体が良くなるためには変化と進化が必要だと明示されています。
特に特徴的なのが下記の文章です。
この建設産業が他産業に肩を並べるには、技能者・技術者が「給料高い・休日多い・希望が持てる」など頑張った者は「持ち家」が持てるくらいの産業にしないと若手(女性含む)が入って来ない。
引用:日本建設業連合会 10年後を見据えた建設業のあり方について
10年後も生き残っていくために業界全体で変えていかないといけないという意思を感じると思います。
建築業界を辞めたその後はどうなる?おすすめの転職先
- 建築業界を辞めたいが、その後の転職先はどこが良いのか
- 異業種に転職したいけど、どんな仕事なら転職しやすいのか
施工管理を辞めると決断しても、その後の転職先ってどこが良いのか、どんな選択肢があるのか分からないと思います。
他の業種のことは全然分からないよ…!
施工管理を辞めた後の転職先は、以下5つがおすすめです。
- ディベロッパー(不動産業界)
- ビル管理(ビルメンテナンス業界)
- 都市再生機構(UR)
- ファシリティマネジメント(銀行系の施設管理)
- コンストラクションマネジメント(発注者支援)
上記5つの業界はすべて施工管理の経験を活かすことが可能です。
- いわゆる発注者側の立場で働くか
- スキルを活かしてより専門職にシフトするか
発注者のよいところは、上流の業務のため、自分で業務をコントロールしやすいことでしょう。
ライフワークバランスを整えやすいのが最大のメリットです。
施工管理よりもホワイトかつ年収も高いので転職先としてかなりおすすめですよ。
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施工管理を辞めた後のキャリアチェンジ事例が知りたい人は、「施工管理を辞めてよかった体験談!後悔しないための転職のポイントを紹介」で詳しく解説しています。
まとめ|いつでも辞めれるよう準備をしておこう!
建設業界がおかしい、普通じゃないのは事実。
「この業界はおかしい」と思う感覚に間違いありません。
ただし、建設業で働くことに全くメリットがないわけではなくて。
といったメリットがあるのも事実。
特に「「施工管理は潰しが効かない」は大間違い!他職種でも活かせる3つの理由」にて解説している通りキャリアアップには最適な環境です。
「建設業界はおかしい!」「建設業界の未来に希望は持てない!」
と感じるならいつでも辞めれるように転職活動をしておきましょう。
転職「活動」自体はノーリスクですからすぐに始めるべきです!
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